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2015/09/01

SSW2・平助編 - Whose thing is said? -

現代パロ。平千。ホワイトデー後のお話。「SSW・平助編」の後日談。


 ―――春。
オレにも、やっと…本当にやっと!春が来た……!!

「いってきまーす!」
三月の初めの朝。オレは、いつも通り玄関を出た。
いつもの朝。いつもの風景。何も変わらねー筈なのに、どこかキラキラしているように思えて、全然違って見える。
「お…おはよう、平助君。」
オレん家の門の前で、頬をうっすらと赤く染めた千鶴が、恥ずかしそうに視線を泳がせながら笑いかけてくる。オレが家から出てくるまで、待っててくれてたみたいだった。
「あ…お、おはよ。」
「う、うん。」
何となく気恥ずかしくて、照れ臭かった。
昨日は、あんなに自然に自分の気持ちを伝える事が出来て、千鶴からも…すげー小っせー声だったけど、「好き」って言ってもらえた。
一晩経って気持ちが落ち着いた所為か、きちんと状況が分析出来るようになった分、今度はどんな態度をとったら良いのか分からなくなる。
 あれ…オレ、今までどうやって千鶴と話してたっけ?
ぐるぐる思考が回り始めたオレに、千鶴が「平助君、遅刻しちゃうよ?」と極めて現実的な突っ込みを入れてきた。
「へっ?」
俯き加減でいた顔を千鶴の方に向けると、オレの目の前に出された千鶴の携帯のディスプレイは、洒落にならねー時刻を表示していた。
「うっわ、やっべ!走るぞ、千鶴!」
「きゃっ…!待って、平助君!」
オレは長年の条件反射で千鶴の手を掴むと、いつも通り二人で通学路をダッシュした。


 何とか遅刻は免れ、オレと千鶴は下駄箱でいつも通り別行動になった。二年生のオレと一年生の千鶴は、教室が別々のフロアにあるからだ。
去り際に千鶴から「また後でね」と微笑まれ、上機嫌で階段を二段飛ばしで駆け上がりながら、開けっ放しになっている教室のドアをくぐって中に入ると。
「…よう、幸せ者。」
「おっす、この幸せ者。」
「おはようさん。この幸せ者。」
教室内は何故か重たい空気に包まれていて、中にいたクラスメイトの奴から口々に妙な挨拶を投げ付けられた。皆、顔は笑っているのに目が全然笑ってねーし。何なんだよ、この空気は。
「お、おー…おはよ。」
 何だ…?
今にも刺し殺されそうな視線から逃げるように、そそくさと自分の席へ行くと。
「おはよ。幸せ者の平助君。」
いつもなら後十五分は経たねーといる筈のねー総司が、オレの前の席の椅子に横向きで腰掛けて、皆と同じ妙な挨拶をしてきやがった。
「おはよ…っつーか、お前が遅刻してこねーのって、すげー珍しくねーか?いつもなら、もっと遅いじゃん。」
席に着いて鞄からノートとか筆箱を出しながら、オレが素朴な疑問を投げ掛けると。
「あぁ、うん。今日は、「平助と千鶴ちゃんが付き合うようになったよ」って、皆に広めないといけなかったからね。早起きしたんだ。」
総司は爽やかに笑いながら、耳を疑いたくなるような事を言いやがった。
 なっ…!?
「何、その顔。あぁ、何でバレたのかって事?…聞きたい?」
「人の心ん中を勝手に読むなっ!…って、ちょっと待った。もしかして、さっきから皆に妙な挨拶をされるのは―――」
「うん。僕が言ったからだよ。因みにニュースソースは、千鶴ちゃんね。昨日電話して、君とどうなったのか、無理やり問いただしたんだ。」
「…」
悪びれもせずに終始笑顔でいる総司に、オレはもう何も言う気になれなかった。そもそもコイツの話術に、単純で素直な千鶴が敵う訳ねーし。
「…あぁ、そうかよ。」
どっと疲れが押し寄せてきて、オレが机に頬杖をつくと「…それだけ?」と、総司は不服そうに眉を顰めた。
「は?」
「何惚けてるのさ。僕と一君が君にアドバイスをしたから、晴れて千鶴ちゃんとお付き合いが出来るようになったんでしょ?お礼位してくれたって、バチは当たらないんじゃない?」
 …昨日のアレが、アドバイスか……?
昨日の放課後。部活の後、部室で総司に後頭部を掴まれてロッカーに額を打ち付けられ。更に一君から、同じ場所にデコピンを食らわされた事を思い出した。
 でも…確かに二人に言われなかったら、オレはずっときっかけを掴めねーまま、千鶴にはっきりと答えを出さずに傷つけていたかもしれない。
「…わかったよ。」
でっかいため息をつきながらオレがそう言った瞬間、「そうか。今日の俺は、モスの気分だ」と、オレの背中越しに聞き覚えのある声が聞こえた。
「うっわ!?は、一君…いつからそこにいたんだよ!?」
いつのまにか、後ろの席に一君が着席していた。オレ達の席は、教壇に一番近い席から数えて、総司、オレ、一君と、まるで示し合わせたみてーに縦に並んでいる。一君は涼しい顔で口を開いた。
「少し前からだが。それより…平助。漸く、千鶴を傷つけずに済む事になったようだな。…良かったな。」
そう言うと一君は、普段はあんまり見せない柔らかい表情で、オレに笑いかけてきた。
 あぁ…やっぱり一君は良い奴だよなぁ。
そう思ったのも束の間。今度は総司から背中越しに、「じゃあ、平助。今日の放課後は、君の奢りでモスね」と明るい声を投げつけられた。
「はぁっ!?」
「一体何を聞いてたのさ。さっき、一君が「今日はモスの気分だ」って言ったじゃない。勿論、千鶴ちゃんも一緒で良いからね?あぁ、放課後が楽しみだなぁ。」
「悪いな、平助。馳走になる。」
 こいつ等、絶対仕組みやがった……!!
オレを前後に挟んで楽しそうに笑う二人に、「お前等なぁっ……!」っと勢い叫び声をあげた瞬間、頭のてっぺんを何かでバシン、と殴られた。
 いってぇ……!!
頭を抑えながら顔を上げると、緑のジャージ姿が怖い位に良く似合う担任が、むすっと不機嫌そうな顔でオレを見下ろしていた。
「とっくにHRが始まってんのに、いつまでも騒いでんじゃねえ、この幸せモンが!とっとと前を向け!」
 …先生にまで、筒抜けなのかよ……。
オレは大人しく前を向くと、がっくりと肩を落として、机の上に突っ伏した。


「じゃぁ、この問Bを―――…あぁ、そこの幸せ者で良いだろ。おい、幸せ者。とっとと立って答えろ。」
「ちょっ…!オレかよ、左之さん!?」
「原田先生、だろ?教師に向かって良い態度だから、もう一つ追加な。問Cも答えろ。」
「ひでー!先生だって、ちゃんとオレを名指ししてねーじゃん!」

オレの暗い気分を他所に、教室がどっと笑う。皆、マジでひでーよ。
結局、古文でも。数学でも。今受けてる、保健体育でも。
まるで嫌がらせみてーにオレは、授業で事ある毎に当てられる羽目になっちまった―――。


-了-

――― あとがき ―――
このお話は、バレンタイン小説「SSV平助編」、その後日談のホワイトデー小説「SSW平助編」、そのまた後日談のお話です。
前回のSSWで、平助君は無事千鶴ちゃんとお付き合いする事が出来ました!
そんな幸せ絶頂である彼には、幸せなのか不幸なのか、弄り倒される日々が待っているのでした―――というお話でした。

平助君の置かれている環境を考えると、「こうなるんじゃないかな?」と思いまして。
千鶴ちゃんは、薄桜学園の唯一の女子ですからね。高嶺の花でもありマスコット的な存在でもある彼女が、幼馴染みである平助君とくっついた…ともなれば、それはもう色々やられるだろうな、と(笑)。
千鶴ちゃんが在籍していない彼らのクラスは勿論男子しか生徒がおりませんし、何より左之さんの授業ならこんな感じにゆるくても問題ないかな?と思って、和やか(?)な授業風景を書いてみました。

ちなみにサブタイトルの「Whose thing is said?」は、「何て言った?」という意味です。「幸せ者」という仇名に対する、平助君の感想ですかね(笑)。

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

タグ : SSV

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プロフィール

となみかや

となみかや/1073kaya Admin
薄桜鬼・うたプリ・刀剣乱舞に、
重篤レベルで嵌り中。
千鶴受/春歌受/女審神者受

Twitter: @to7mikaya_3na10
Pixiv: 4211441


※現在、WEB拍手は3作品です。
龍鈴(薄桜鬼)/原千(薄桜鬼)/
薬研&光忠(刀剣乱舞)

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薄桜鬼。2話~の作品。完結済。
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