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2015/08/31

ジレンマ平助編・参- Hung in there!-

幕末設定。平千。 恋仲捏造設定。共通テーマ「ジレンマシリーズ」。


―――誰か、助けてくれ。
オレは、心の底から本気でそう願った。
「…さぁ。とっとと白状しなよ、平助。」
オレの目の前には、萌黄色の瞳をすうっと細めて、射抜くように冷たくオレを見下ろしてる総司と。
「おいおい総司、抜刀はやめとけよお?」
「そうそう、私闘はご法度だからな。まっ…オレも、さっさと白状した方が身の為だとは思ってるけどな?」
右斜め前には、楽しそうに指をぱきぱきと鳴らす新八っつぁん。その後ろには、総司を宥めながらも、全然目が笑ってねー左之さんが立ってる。
オレが顔をひきつらせていると、左斜め前にいた一君が、総司とは違った殺気を放ちながら静かに口を開いた。
「…平助。隠すと為にならぬという事は、この状況を見ればお前でも十分に分かると思うが。俺も含めて、この中の誰かがお前に手を出さないうちに、さっさと吐け。」
じりじりと壁際に追い詰められたオレは、四人に三方から囲まれて、完全に逃げ場を失っちまった。
「二日前から、千鶴ちゃんの事を避けてるのは、何で?」
「お前、ちょっと前から千鶴ちゃんを避けてるだろ。」
「数日前から千鶴を避けてんのは、何でだ?」
「何故、二日前から千鶴を避けている。今すぐ訳を言え。」
一斉に発した言葉と共に、オレをとり囲んでいる八つの瞳が、針のように冷たい視線でオレをその場に縫い留めた。
 土方さん!近藤さん!助けてくれ!
オレはもう一度祈ったけど、会議が終わって解散した後の今じゃ、それも無理な話だった。


 はっきり言って今のオレは、挙動不審としか言いようがねーと思う。
千鶴に話しかけられると、目も合わせずにそそくさと逃げ出すし。夜だって、またあんな夢を見ちまうんじゃねーかと思って、碌に寝れねーし。
オレだって、平静を装いたいのは山々なんだよ。でも、何か上手くいかないんだって!
何ていうか…千鶴は、すげー無防備なところがある。不用意に距離を縮めて、近づいてくる事だって多いし。たぶん、オレを男として意識してねーからなんだろうけど。
千鶴に近づかれると、どうしてもあの夢が脳裏に過っちまって。どうしていいか分かんなくなっちまって、つい…反射的に避けちまう。
この状態をどうにかしたいのは、オレも同じなのに―――。

「話すつもりなどない…か。あくまでも、黙秘を貫くようだな。」
「ふぅん…平助がそのつもりなら、無理矢理にでも聞くしかないよね?」
二人の空気が、低い声と一緒に更にぴりぴりとしたものになってくる。
 源さん!山崎君!山南さん…は無理か。あぁもう…伊東さんでも良いから。
頼むから、この場から助けてくれ……!!
そう願った時だった。
「失礼します。皆さんの湯飲みを片付けに参りました。」
ぺこりと小さくお辞儀をして、千鶴が入ってきた。
「おっ、千鶴ちゃん!丁度良い時に来たな!」
「千鶴、ちょっと来いよ。」
「はい?」
新八っつぁんと左之さんが、盆を抱えて大広間に入ってきた千鶴を手招きする。一君と総司も揃って、千鶴がいる方向に顔を向けた。
 今だ!!
オレは一君の脇をすり抜けて、全速力で大広間の出口に向かった。
「む、しまったっ…!」
「ちょっと!何やってんのさ、一君!」
「待てよ、平助!」
「平助!てめえ、男らしくねーぞ!!」
ぱっつぁんの「男らしくない」にちょっと傷ついたけど、今は逃げるが勝ちだ。オレはぽかんとしている千鶴から目を反らして、大広間を出ていった。


 とりあえず、ほとぼりが冷めるまでどこかに隠れてるしかねーかな。
四人に見つからないように、オレは足音を忍ばせて身を屈めながら隠れ場所を探した。オレの部屋は、既に追っ手が向かってるだろうから除外するとして。とりあえず、寺の境内の方にでも行って――――ん?
屯所の外に出ようと思って出入口へ向かうと、門の前で綺麗な着物を着た美人を見送る土方さんの姿があった。
「副長はん。何から何まで、ほんまに…すんまへんどした。」
「…あぁ。あんたも、気をつけてな。」
「へぇ。ほな、これで。」
京都訛りの美人はぺこりとお辞儀をすると、風呂敷包みを手に屯所を出ていった。肩の荷が下りたという顔つきで、土方さんがくるりと踵を返した瞬間、オレと目が合う。
「…何だ、平助?出歯亀たぁ、良い趣味してるじゃねぇか。」
「うっわ、人聞き悪いなー。通りかかったところを、たまたま見てただけじゃん。それより土方さん、今の誰?」
皮肉たっぷりに笑う土方さんにむっとしながらも、気になっていた事を聞くと。土方さんは視線を地面に這わせてから、溜め息を吐きながら口を開いた。
「…保田の姉さんだ。」
「保田って…あの?」
オレがぼそぼそと言葉を紡ぐと、土方さんは更に苦い顔をして「あぁ」と頷いた。

 五日前の事だ。新八っつぁん率いる二番隊が、巡察中に不逞浪士達と斬り合いになった。浪士の一人が逃げ道を作る為に町娘を斬ろうして、身を挺してそれを庇ったのが保田だった。保田は背中をばっさりと袈裟切りにされ、そのまま―――帰らぬ人となった。
「…新選組に入らなければ、弟が命を落とす事もなかった……そう、詰られると踏んでたんだがな。「民衆を守った弟を、ウチは姉として誇りに思います」と…きたもんだ。京の女にも、気骨のある女がいるもんだな。」
土方さんは呟くようにそう言うと、まるで詰られた方がよかったとでも言いたげに眉間に皺を深く刻んだまま小さく笑った。
「土方さ―――」
「平助。」
オレが声をかけた瞬間、土方さんはきっと鋭い瞳でオレを見返してきた。
「あ、ああ。何?」
「…オレ達は、明日をもしれねぇ身だ。いつどこで、保田みてぇな目に遭うか分からねぇ。俺もお前も、隊の皆、それは同じだ。」
オレが真面目な顔で頷いたのを確認すると、土方さんは形の良い眉を歪めて、くっと笑った。
「…分かってんなら、良いけどな。いつまでも馬鹿みてぇな意地張ってねぇで、とっとと仲直りしてこい。」
「ひじ…!」
オレが口を開こうとすると、土方さんはオレの頭にぽんと手を乗せて去っていった。
 ―――そうだった。
オレ達は明日をもしれない身で、いつ危険な目に遭うか分からねーんだよな。
こんな状態で、もし明日オレが死んじまったら?
仲直りが出来ねーまま、二度とあいつが笑ってくれる顔を見れずに全部が終わっちまう。
―――そんなの、嫌だ!!
オレは、千鶴の姿を見つけ出す為に走り出した。


-肆へ続く-

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

タグ : ジレンマ・平助編

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プロフィール

となみかや

となみかや/1073kaya Admin
薄桜鬼・うたプリ・刀剣乱舞に、
重篤レベルで嵌り中。
千鶴受/春歌受/女審神者受

Twitter: @to7mikaya_3na10
Pixiv: 4211441


※現在、WEB拍手は3作品です。
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薬研&光忠(刀剣乱舞)

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沖田VS平助 沖田編平助編
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