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2015/08/31

ジレンマ平助編・弐- Hung in there!-

幕末設定。平千。 恋仲捏造設定。共通テーマ「ジレンマシリーズ」。


 ―――君。平助君。
緩やかな意識の下でオレを呼ぶ、優しい声。
 誰だ―――…?
面倒に感じながらも、重たい瞼をゆっくりと開けると。
見慣れた天井と、柔らかく笑う見知った女の子の顔がそこにあった。
いつもは高く一つにまとめられている髪が、何故か下ろされてて。着物も、まだ寝間着のままだった。男装してる姿とはうって変わった女の子そのものの姿で、オレを見下ろしてる。
「ち、づる…?」
目覚めの悪い頭で、目の前の人物を確認しながらも覚束ない口で名前を呼ぶと、「うん」と笑って頷かれた。
 あぁ…朝だから、起こしに来てくれたのか。オレ、寝起き悪いもんなー……。
いつもの日課と化している出来事にオレが納得しかけてると、千鶴はオレの右手を手にとって、自分の左頬にそっと擦り付けた。
 千鶴……!?
思いも寄らない出来事に驚いて千鶴をじっと見てると、千鶴は恥ずかしそうに顔を赤らめながらオレに―――ちょ、ちょっと待った!
 千鶴!顔、近い!近いって!!
オレの戸惑いを無視して、千鶴は吐息がかかりそうな位の距離で、オレに顔を近付けてくる。待て!待ってくれ!何か、右の脇腹辺りに柔らかい何かが当たってるんだけど!朝だし、起き抜けだし、お前にくっつかれるとオレ色々困るんだけど!!
 つーか、何?何でこうなってんだ!?
ぐるぐる思考が回ってるのに、オレの視線は目の前の千鶴を目に焼き付けようと、色々なところをくまなく見つめちまう。
白くて細い首とか。小さくて柔らかそうな耳朶とか。触り心地が良さそうな、さらりと流れる艶やかな黒髪とか。桜色をした、柔らかそうな唇とか―――その唇が、小さく動いた。
「平助君…私の事、好き?」
「はあっ!?」
「きゃ…っ」
聞かれた言葉に驚いて、起き上がった瞬間。オレにかけられてた布団に手を置いてた千鶴は、がくんと体勢を崩してオレに覆いかぶさる状態になった。
上体を起こして、起き上がったオレと。オレの膝の上に倒れこんで、見上げてくる千鶴。
真っ赤な顔で目を潤ませた大きな瞳に見つめられて、オレは縫い留められたように指先一つ動けなかった。思わず、ごくりと喉が鳴る。
「私…平助君が、好きだよ。」
震える小さな声がそう告げた瞬間、オレの胸の奥がどくん、と大きく鳴った。それを見計らったのか、千鶴はゆっくりと起き上がって、そっとオレの胸にとん、と頭を乗せてくる。ふんわりとした、柔らかい女の子の匂いがした。
「…平助君は?」
「え!?オ、オレ…は……!」
からからの喉の奥から言葉を発したいのに、上手く言葉に出来ない。身体の奥でどくどくと鳴ってる心臓の音と顔の熱さをどうにかしたくて、とりあえず何か言おうと目を泳がせてると、オレのすぐ下からしゅるっと衣擦れの音が聞こえた。
 …何だ?
不思議に思って、徐に下に視線を向けると。
「ち、千鶴!?」
寝間着の帯を緩めて、襟元を肌蹴させた千鶴がオレのすぐ下にいた。驚いて固まってるオレを、千鶴は「えいっ」と押し倒す。不意をつかれたせいもあって、オレは簡単に元の場所へ仰向けに倒れちまった。
背中には、いつものオレの布団の感触。視界には、見慣れた天井を背景に、見慣れない千鶴の姿。華奢な肩とか、すっと細い鎖骨のくぼみとか……あぁもう、色々と目のやり場に困るんだけど!
「平助、君……。」
形の良い眉が少し切なそうに歪められたかと思うと、オレを見下ろしてる大きな瞳が、ゆっくりと閉じられて。だんだんと、千鶴の顔が、オレに、近づいてきて―――。


「…ちょ…っ!!それ以上は、やっぱり駄目だって!!」
相手を突き飛ばすように、がばっと起き上がると。
 ………あれ?
当然、千鶴の姿はそこにはなかった。オレ以外、誰も居るはずがない部屋。いつものオレの部屋だ。
「ゆ、夢?」
さっきまで見ていた夢の内容を思い出して、身体の奥からぐわっと熱くなるのを感じた。
 オレ、何て夢を見てんだよっ!?
ぐしゃぐしゃっと頭を掻いたけど、そんな事で忘れられる訳がなかった。
あまりにも、生々しい夢。千鶴の声も。柔らかい肌の感触も。息遣いも。涙で潤ませて、オレを見る瞳も、全部が…すごく―――。
「あ―――!!だから、思い出すなって!!」
昨夜とは全く違う出来事で、ぐるぐると思い悩んでた時だった。とてとてっと軽い足取りが聞こえてきて、オレの部屋の前でぴたりと止まる。
「平助君、起きてる?」
 千鶴!?
寝坊しがちなオレを心配して、いつもと同じように起こしに来てくれたようだった。オレ、どんな顔をして千鶴の前に顔を出したら良いんだ!?
今のオレ、心身共にあいつの前に出られる状況じゃねーんだけど!!
思わず、寝乱れてぐちゃぐちゃになっていた布団をかき集めてそれに包まる。いや、別にそんな事をしても何の意味もねーって分かってるんだけど!
今のオレを、千鶴にだけは見られたくねー……!
「平助く―――」
「あ、ああ!起きてる、起きてるから!大丈夫だから、すぐ支度する!」
戸を開けようとした気配を察して、オレは慌てて外にいる千鶴に声をかけた。千鶴は少し間を置いてから「じゃあ、後でね。もうすぐ朝餉の時間だよ」と告げて去っていった。足音が小さくなっていったのを確認して、はぁっと深く大きく息をついた。

 あー…どうすればいいんだろ、オレ。
これから千鶴にどんな顔すればいいのか、全然分からねーよ……。
がっくりと肩を落として俯くオレの視界に、寝癖だらけの髪がばさりと覆いかぶさってきた。
まるで、オレを不安の檻に捕らえたような視界。これからの事を考えて、オレはまた溜め息をついた。

-参へ続く-

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

タグ : ジレンマ・平助編

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プロフィール

となみかや

となみかや/1073kaya Admin
薄桜鬼・うたプリ・刀剣乱舞に、
重篤レベルで嵌り中。
千鶴受/春歌受/女審神者受

Twitter: @to7mikaya_3na10
Pixiv: 4211441


※現在、WEB拍手は3作品です。
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