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2015/08/31

SSW・斎藤編- I need to say something… -

現代パロ。斎千。ホワイトデーのお話。「SSV・斎藤編」の後日談。



 まだ日によっては霜が降りる事もある、三月の早朝。
校門をくぐっていく生徒の服装を無言で確認しながら、俺は手にしている書類にペンを走らせた。
「おはようございまーす。」
「ああ、おはよう。」
顔見知りの生徒からぺこりとお辞儀をされ、俺は書類から顔を上げて、短く挨拶の言葉をかけた。
視界の隅では、同じ風紀委員の南雲薫が大きな瞳を細めて黒い笑みを浮かべながら、違反生徒に些か厳しすぎる指導を行っている。
 …顔は似ていても、性格は本当に逆なのだな。
俺は心の中でそう思いながら…彼女の姿を探していた。


 俺が探しているのは、雪村千鶴―――この薄桜学園の一年生で、我が校で唯一の女子生徒だ。
先月の十四日、土方先生から突然言い渡された「バレンタイン禁止令」は、全校生徒を奈落の底へと叩き落とした。
俺も内心その中の一人ではあったが、突然の事とはいえ土方先生が「校則」として決めたものだ…在校生であり風紀委員を担っている以上、校則を守るのは致し方ない。
「残念だったね、一君」と揶揄う総司や、「まーオレは、あいつとは隣の家だから良いけど」と一人勝ち誇っている平助を尻目に、俺は遣り切れない気持ちのまま…その日を過ごしていた。
帰り道、己の僅かな期待に自己嫌悪していると、私服姿の千鶴が現れた。
校則を破らないよう、わざわざ早く帰宅して私服に着替えて。俺の元へと、チョコを届けに来てくれたのだ。

「どうしても今日、俺に渡したかったから」―――と。

想いを寄せている女性から、バレンタインデーの日にチョコと一緒に突然そう言われて…喜ばない男がいるだろうか。
嬉しさを隠し切れず、半ば強引に彼女を家まで送り届けると、千鶴の帰りを待っていたのか…家の前にいた平助と薫に、酷い剣幕で咎められた。
 だが俺にも、時には「余裕」とか「独占欲」いうものが生まれるらしい。
俺が二人に向かって「学校外のプライベートな時間に、校則は関係ないだろう。これは俺と千鶴の二人の問題であって、兄の南雲や幼馴染の平助には関係ない事項だ」とさらりと言うと、小柄な男二人はぐっと言葉を詰まらせた。
隣にいた千鶴は、大きな瞳をぱちぱちと瞬きさせたかと思うと、恥ずかしそうに俯きながらも頬を赤らめて嬉しそうに笑っていた。


そして、一ヵ月後の今日。
彼女に渡す予定の、綺麗にラッピングされた小さな箱は、機会があった時すぐに渡せるよう制服の内ポケットに忍ばせてある。
彼女はおそらく、いつも通り平助や総司と登校してくるだろう。
あの連中の前では、落ち着いてゆっくり話す事など出来ないだろうし、そもそも彼女が登校してきた事を確認してからでないと話にならない。
もし体調を崩して学校を休んだのであれば、計画を変更しなくてはいけなくなる。…それはそれで、「見舞い」と称して、彼女の家を訪ねれば良い訳だが。
もうすぐ…もうすぐ、やってくる筈だ。
桜色のシュシュでまとめた髪を揺らして、にこりと可憐に微笑みかけてくる、あの姿が……。
時間が過ぎると共に、生徒達が鯉の滝登りのようにぞろぞろと門をくぐってくる。その間を縫うように、飛び跳ねるように歩く小柄な男子生徒と、面倒くさそうにだらだらと歩く男子生徒に挟まれて、彼女がやってきた。
 …来た、か。
俺がほっと小さく安堵の溜め息をもらすと、近づいてきていた三人から声をかけられた。
「おはよー、一君!」
「一君、おはよ。毎日毎日、よくやるよね。」
「おはようございます、斎藤先輩!」
三人は思い思いの表情で、いつも通り門をくぐっていく。
俺は「ああ、おはよう」と挨拶をすると、昨夜のうちにあらかじめ未送信のまま保存していたメールを、こっそり彼女に送った。





「お前に渡したい物がある。
大事な物だから、お前が
一人でいる時に渡したい。

時間が取れる時があれば
いつでもいい、教えてくれ。

今日中なら、いつでもいい。
返事を待っている。 斎藤」



-了-

――― あとがき ―――
このお話は、2011年のバレンタイン話「SSV」の後日談です。

一さんは風紀委員なので、ホワイトデーだろうと何だろうと、職務をまっとうしているんじゃないかと思って、当日も校門の前に立たせてみました。

沖田さんと平助君の前だと、「揶揄れたり邪魔されるに決まっている」と長年の付き合いによる経験を基に、「メールでこっそり呼び出す」という展開にしました。
バレンタインの帰り道のエピソードですが、いくら晩熟で照れ屋さんの一さんでも、好きな女の子から本命チョコレートを貰って喜ばない筈がないだろうな、と。
彼もれっきとしたムッツリお年頃の青少年なので、バレンタインに両想いになれて、浮かれてない筈はないなと思って、薫と平助に一矢報いるという強気な態度を出させてみましたw
若干黒い斎藤さんのような気がしますが、浮かれている所為です。きっと;

 タイトルの「片恋への返し技。」ですが、「バレンタインに本命チョコを渡してもらった事」を、「ホワイトデーでお返しの気持ちをする」という意味を込めています。「返し技」は、「正面からではなくメールでこっそりやり取りをする」ところから取っていますw
サブタイトルの「I need to say something…」は、「君にどうしても伝えたい事があるんだ」という意味なんだとか。
一さん流に言うと、「お前に伝えなければならない事がある」ですかね?w

今回最後につけた文は、千鶴ちゃんへのメールの内容です。えらく硬い文なのは、まぁ一さんですからwキャラ崩壊をしていたとしたら、申し訳ございません;

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

タグ : SSV

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薄桜鬼・うたプリ・刀剣乱舞に、
重篤レベルで嵌り中。
千鶴受/春歌受/女審神者受

Twitter: @to7mikaya_3na10
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