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2015/08/30

茜色の頬、橙色の指先-What color in loving?-

現代パロ。斎←千←沖。総司さん視点。総司さんの片思い話。高校生設定。




 ――好きだよ、って。


 君に、言えたら良いのに。


「沖田先輩。聞いてますか?」
 大きな琥珀色の瞳が、じろっと僕を睨んでくる。
 夕焼けに染まる茜色の頬が、ぷくっとお餅みたいに膨らんでいて、その表情は可愛いだけで全然怖くない。
 今日は、学校全体で実力テストがあった所為で、部活動は休み。
 一年生の教室をのぞいてみたら、この子が自分の席で今日の実力テストの復習をしている姿を見つけた。
 邪魔するつもりで前の席に座ったら、難しい顔で「先輩、ここの問題……分かりますか?」って聞かれて。
 別に、格好をつけたかった訳じゃない。
 たまたま聞かれた問題が、僕の得意な教科だっただけ。
 僕が「仕方ないなぁ……家庭教師代、高いよ?」って笑いながら教えてやると、ほっとした顔で「ありがとうございます」って、ぺこりとお礼を言われた。
 そうやって――素直に、距離を縮めてこないでくれないかな?
 何でもないふりをするのって……結構、大変なんだからさ。
「お、き、た、先輩っ」
「はいはい、聞いてるってば。君が、部活の日誌の書き込みを間違えちゃった話だっけ?」
 僕がわざと全然違う話題をふってやると、大きな瞳が「やっぱり聞いていなかったんですね」って非難の視線を飛ばしてきた。
「もうっ……違います!あのっ……もうすぐ、斎藤先輩のお誕生日、ですよね」
「!」
 ちりっ、と。
 胸の奥に、火傷みたいな……熱いような痛いような感覚が走った気がした。
 そっと横目で様子を見ると、茜色の頬は、もっと赤く染まっていた。
 視線を泳がせながらチラチラと僕の顔を見てくる琥珀色の瞳は、夕焼けの陽が差して蜂蜜色に変わっている。
 リップクリームが塗られた柔らかそうな唇は、夕日の光を浴びてつやつやと輝いていた。
(はいはい、一君の話ね)
「あぁ……お正月だよね、確か。あんな仏頂面なのにさ、誕生日は賑やかでおめでたいなんて、何かのギャグみたいだよねぇ」
「沖田先輩。それって、失礼ですよ!?お誕生日なんて、変えられないんですから!」
 細い眉がキッと吊り上がった瞬間、薄い桃色の唇が不機嫌そうにきゅっと引き結ばれた。
 この子は、こういう顔しか――僕には見せてくれない。


『さ、斎藤先輩っ。あのっ……来年の祝日にある、交流試合の話なんですけどっ……!』

 真っ赤な顔で、緊張した顔で笑いかけたりとか。


『斎藤先輩、昨日お借りした本、読みました!テーピングの本、すごくわかりやすかったです!』

 好意を全身に溢れさせて、お礼を言ったりとか。


 本当に――――ないんだよね。
 一君以外には。

(ほんと、狡いよね)
(僕の方が近くにいるし、話す回数も多いのにさ)
(何で一君の方が良い訳?)
「あぁ、はいはい。ごめんね。……で?どうするの?」
「どうって……」
「誕生日プレゼント。あげたいんでしょ?」
「!」
 ぴくん、と小さな肩が上下して、華奢な身体がかちん、と石みたいに固まった。
 そのすぐ後で、急におどおどして視線を泳がせながら「え、と…あの」って言い淀んで挙動不審になる。
(バレバレだってば)
(むしろ、一君本人にバレてないのが不思議なレベルだし)
(まぁ……あっちも鈍いから、気付く訳ないけどさ)
「沖田先輩は、斎藤先輩の好きなものって……ご存知、なんですよね?」
「まぁ、それなりにはね。同じ剣道部だし。剣道の道場も一緒だし。何より、中学から一緒だからね」
(ほんと……腐れ縁にもほどがあるよね)
(剣道の強い高校で、家から近い場所で、学力もそこそこで……って、目指す方向が一緒なんだから、当然なんだけどさ)
 はぁ、と、僕が小さくため息をついた時だった。
 小さな黒髪のポニーテールが、小さくこくんっと上下する。
 俯き加減だった顔がスッと戻ってきて、琥珀色の瞳が……じっと、僕の顔を見つめてきた。
「あのっ……沖田先輩。今度、部活の後に……」
「良いよ」
「えっ?」
「買い物に行きたいんでしょ?付き合ってあげる。でも僕、クリスマスしか予定空いてないんだけど。それでも良い?」
「……クリスマス、ですか……?」
 僕からの申し出に、千鶴ちゃんは細い眉をハの字に下げながら、細い顎の下に手を添えて「うーん」と考え込んでいる。
 当然だよね。
 世間一般から勝手に”特別な日”だって決められている日に。
 ”好きでも何でもない男の人と一緒に、街中を歩く”……なんて。
 周りから見たら、まるで「デートしている恋人同士」みたいな事をしなくちゃいけないって、言われているんだから。
 (勿論―――わざと、だけどね)
「まぁ、無理強いはしないけどね。君が駄目だっていうのなら、悪いけど僕は付き合ってあげられないかな。その日以外は、全部予定が入っちゃてるからね」
「沖田先輩……あんまり、お付き合いする人をとっかえひっかえするのって、良くないですよ。彼女さんを、何人も作るのも……傷つけちゃいますよ」
「……!」
(だって、仕方ないじゃない)
(一番欲しい子は、手に入らないんだからさ)
 本当は――今すぐにでも、ぎゅって抱きしめたい。
 その小さな耳元で「好きだよ」って言ってやりたい。
 でも……その場ですぐに返ってくる答えなんて、決まっているから。
「それこそ、君には関係ないんじゃない?それで……どうするの?クリスマス」
「………よ、よろしく、お願いします」
「ん、決まりね」
 机の上に、無造作にぽんっと置いた、僕の手。
 そこから5センチ先にある、千鶴ちゃんの白い指先は……夕焼けの橙色に染まっている。
 目の前にある、小さな手を取りたい気持ちを抑えるために――僕は、そのままぎゅっと握り拳を作った。
 自分の気持ちを……隠すために。


 本心なんて、明かしてあげないよ。
 君にも、一君にも。
 ……誰にも、ね。


-了-

――― あとがき ―――
このお話は、kazu様となしあ様へのクリスマスプレゼントSSとして書いたお話です。
何となくクリスマスのお話を書きたいなーとか思っていた時に、Twitterで呟いていた二人と盛り上がって、ほぼ即興で書きました。

 タイトルの「茜色の頬、橙色の指先」は、沖田さんから見ている千鶴ちゃんの姿ですね。夕焼けに染まっているその『赤みを帯びた色』が自分の事で染まっている訳じゃなく、他の人を見ているから…という意味合いを込めています。
 斎藤さんの事を好きな千鶴ちゃんに、こっそり片思いをしている沖田さんですが。
 どう考えても彼女は手に入らなさそうだし、「頼りになる相談役」っていうポジションもちょっとおいしいし、でも悶々と悩む気持ちの憂さ晴らしもしたいし、何よりオトコノコだし―――という事で、後腐れのない女の子達と気軽に遊んでいる、少々アレな沖田さんにしました。
 思春期は大変ですな!←

 サブタイトルの「What color in loving?」は、「恋の色って何色?」……そのまんまやー!
 色々な思いや立場や本人の気持ちによって、色々な色になったりするよね、って事でこのサブタイトルです。

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

タグ : 進呈

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プロフィール

となみかや

となみかや/1073kaya Admin
薄桜鬼・うたプリ・刀剣乱舞に、
重篤レベルで嵌り中。
千鶴受/春歌受/女審神者受

Twitter: @to7mikaya_3na10
Pixiv: 4211441


※現在、WEB拍手は3作品です。
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薬研&光忠(刀剣乱舞)

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沖田VS平助 沖田編平助編
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