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2015/08/30

追いかけっこ。- playing tag -

現代パロ。沖千。 恋人設定。バレンタイン2012


 昨日の夜、一通のメールが僕の携帯に届いた。

送信主は…あの子から。



こんばんわ 遅くにすみません
明日の朝も、私の家まで迎えに
来てもらってもいいですか・・・?



用件は、これだけ。絵文字も顔文字もなし。文字だけのお願いメール。
 お願いっていっても、あの子の家まで迎えに行く事なんてもう日課みたいなものだから、実はお願いでも何でもない。
まぁこの日課は、僕があの子の断りもなしに家まで迎えに来たのが、そもそもの始まりなんだけどね。
 だって…晴れて僕と両想いになって、ちゃんと恋人同士になれたっていうのに。あの子は今まで通り、お隣さんで幼馴染の平助と一緒に登校するつもりだったんだから。そりゃ阻止したくもなるでしょ。
 何が悲しくて、自分の彼女と他の男が仲良く登校する風景なんか、見なくちゃいけないのさ。
僕達の関係を考えたら、むしろ平助君の方が邪魔してる方だと思うんだけど。そこは平助が、遠慮するべきところじゃない?

 そんな訳で、僕は毎朝彼女の家まで迎えに行っている。だから、こんな風にわざわざメールで聞いてくる必要なんてない筈だ。
それでも、あの子が僕にこんな風に聞かずにはいられない理由は、一つだけ―――。

「…今年のチョコレートは、どんなのかなぁ。」

ベッドの上でごろごろと寝返りをうちながら、携帯のディスプレイに視線を落として僕はぼそっと呟いた。
 あの子の事だから、きっと手作りだよね。
去年貰ったヤツも…まぁあれは義理だったけど、手作りのチョコだったし。
今日の放課後だって、必死な顔で「今日はお千ちゃんと一緒に帰るので、一緒に帰れないんです」ってぺこぺこ謝ってたし。
この時期に、あんな真っ赤な顔でわざわざ他校に通ってる女子と一緒に帰るって…何をするつもりなのか、もうバレバレだよね。
僕があっさりと「うん、いいよ。たまには、友達付き合いも大事だよね」って言ったら、あの子は物凄くほっとした顔で「ありがとうございます」って、にっこりと笑った。
 あれで「バレてない」って思いこんでるあたりが、もう…微笑ましいというか、可愛いというか。
まだチョコも貰ってないのに、「お返しのホワイトデーには、何をしてやろうかな」って僕が思っちゃうのも、仕方がないよね?

「さて…これには、何て返そうかなぁ…!そうだ。」
僕は小さく口元に笑みを浮かべると、仰向けになっていた体を起こして、うつ伏せになりながら携帯を操作すると、すっと耳元へと移動させた。
何度目かのコール音が鳴って、「もしもし」と焦ったような口調の、やわらかな高めの声が聞こえてきた。
「もしもし、僕だよ。「おやすみ」を言おうと思ってかけてみたんだけど…もしかして、何か忙しかった?」
僕が意地悪く質問すると、耳元で「そんな事ないですっ」と挙動不審な返事が聞こえてくる。
予想通りのリアクションの良さに、思わず小さく笑ってしまう。その声が聞こえたみたいで、ちょっとむっとした声で「何笑ってるんですかっ」と怒られた。
別に見えている訳じゃないけど、電話越しのあの子はたぶん、白い頬を膨らませて細い眉を吊り上げてるんだと思う。
可愛いだけで、全然怖くも何ともない、あの顔で。

「あぁ、ごめん。本当に「おやすみ」を言いたかっただけで、君の邪魔をするつもりはなかったんだ。だから…頑張ってね、チョコレート作り。僕、すごく楽しみにしてるから。」
電話相手のハッと息を呑む気配にニヤリと笑って、僕は「じゃあね、おやすみ」と優しく言うと、くすくす笑いながらそのまま携帯を切った。


あと数時間先の…寒い寒い外で少しだけ待たされる、幸せな時間。

あの子から貰える「想いのかたち」を想像しながら、僕はさっき受信したメールに返信メールを送って、スタンドへと携帯を戻した。





「明日の朝の事だけど
家まで迎えに行くから
大好きだよ   総司」



-了-

――― あとがき ―――
このお話は、「らぶらぶ恋人同士でのバレンタイン話を書きたい」と思ったのがきっかけです。
彼は、千鶴ちゃんのいろんな表情を見るのが好きなドSな猫気質なので、恋人同士になっていたとしても、こういう掛け合いは変わらないんじゃないかなぁと思って書きました。意地悪さんは、標準装備ですからねw
恋人になっても飴と鞭を使い分ける彼なので、揶揄かった後はきちんとメールを送る…という〆にしました。
WEB拍手の公開時、読んで下さった方から「メールがいい!」と感想を頂いてとても嬉しかったです。

タイトルの「追いかけっこ」ですが、主導権を握りたがる彼も、結局は千鶴ちゃんにメロメロさんなので、攻防は50/50なんじゃないかとw
サブタイトルの「Playing Tag」も「追いかけっこ」という意味で、二人がじゃれあっている姿をイメージしていたら、自然とこのタイトルになりましたw

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

タグ : バレンタイン2012

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